単なるチコリーについての寄せ集めコーナーです!!
紀元前からヨーロッパを中心に栽培植物として伝わっているチコリーについて、
人々の暮らしの中の日用品やインテリア用品、絵画などの美術品、民話伝説を含む文学作品などなど、伝えられたチコリーのいろいろな形、姿を少しずつ集めて行きたいと思います。
見つけた内容から書き加えさせて頂きます。
デザイン関係については、リーフチコリーを取り上げたものは全くありません。花ばかりです。
ご紹介している各コーナーの記述内容は、誤りの訂正、表現の修正、追加の記述などを必要に応じて行っています。
なお、大きな修正変更の場合はその内容を明記させて頂きます。
01. 美術文芸作品
チコリーの妖精
はじめにご紹介するのは、イギリスの挿絵画家で児童文学者のシシリー・メアリー・バーカーが描いた「チコリーの妖精」です。
書籍も出版されており、日本でも愛好者が多く、ご覧になられた方は多いと思われます。
また、今は販売されていませんが、森永製菓のハイクラウンチョコレートのおまけとして、「フラワーフェアリーカード」(「花の妖精」シリーズ)が取り上げれられ、大人気となりました。そこには、「チコリーの妖精」も含まれていました。
シシリー・メアリー・バーカー( Cicely Mary Barker 1895-1973)は、ロンドンの南方、サリーのクロイドンに生まれました。
10才代前半から、水彩画の心得があった父ウォルターの指導で絵画の才能が発揮され、1917年から自身が愛した自然と子供たちの姿を一つにまとめて表現することを考え出し、それを「花の妖精」シリーズとして描きました。
そこに描かれた妖精たちは、どこでもいる普通の子供と詳細に描かれた植物およびその植物をもとにした衣装、チョウやトンボの翅をすべてまとっています。
描かれる絵は幻想的というより、リアリズムで、何よりも「自然の描写」にこだわりを持っていたようです。「花の妖精」詩画集シリーズは、片面に妖精の絵、その片面に自身作の詩を載せた形式で、「春」、「夏」、「秋」、「道ばた」、「庭」、「樹」、「アルファベット」、「冬」の8巻が出版されています。
ロンドンにケルト民族の妖精話を広めたアイルランド出身の詩人、劇作家のウィリアム・バトラー・イエイツ(1865-1939 1923年にノーベル文学賞受賞)と何か関連があるのでしょうか。
ともにイギリスの代表的な高級陶磁器メーカー「WEDGWOOD」(ウェッジウッド 1759年創業)と「ROYAL WORCESTER」(ロイヤル ウースター 1751年創業)が、それぞれ花の妖精を取り上げています。
す。
ウェッジウッドの製品は丸形のメタ皿です。
花の妖精シリーズとして、他の妖精たち何種類かと発売されたと思われます。
裏面に短い英文が書かれており、未確認ですが、「花の妖精」詩画集に書かれた詩なのではないでしょうか。
なお、やや先に活躍したビアトリクス・ポターのピーター・ラビットシリーズも同社の商品として発売されていま
ロイヤル ウースターの製品は、オーバル型のプレートで、「花の妖精」シリーズ発刊75周年記念として、他の妖精たちと一緒に発売されたようです。
他にも花の妖精シリーズを取り上げ、発売した陶磁器メーカーがあるようです。陶磁器のデザインとなるほどの人気、評価の高さを物語るものではないでしょうか。
サルバドール・ダリ「雨降りタクシー」
サルバドール・ダリ(Salvador Dalí i Domènech 1904-1989)は、スペインのカタルーニャ州フィゲラス(Figueres)出身の大芸術家です。
絵画だけではなく、グラフィックデザイン、映画、彫刻、工芸、写真など幅広い芸術作品を発表しました。
この「雨降りタクシー」は1938年にパリのボザール画廊で開催された「シュルレアリスム国際展」の出品作品です。
パイプシステムで雨が降るようになっているタクシー車内に何百匹ものカタツムリをはわせたマネキンが乗っているという設定です。そして、タクシー周囲にはレタスやチコリーの葉を巡らせています(巡らせているということです)。ダリの作品の
奇抜さの中でも、格別な部類に入っているようにも思えます。
画像からはチコリーの葉の確認ができません。
現在は、この改造版が故郷のフィゲラスにある、ダリ劇場美術館に常設展示されています。館内に入り、すぐの正面にあり、ダリ劇場の中核となる存在とのことです。
①タクシーの車体は、亡命していたアメリカ・ニューヨークから帰国する際、持ち帰ったとされる黒いキャデラックです。
確認はできませんが、シュレアリスム国際展に出品されていた車種とは異なるように見えます。
②タクシーの上に女性のブロンズ像。オーストリアの彫刻家エルンストフックスの制作です。ダリの妹のアナ・マリアを表現しているとも言われています。
③車体の背後に設置された廃タイヤを重ねた柱です。
④柱の先に小さなボートとそこから垂れ下がるしずくのオブジェ。
すべてに意味があるようですが、ここまでとさせて頂きます。
今もタクシーの車内はドライバーと2名の乗客。
車外横に設置された箱に1ユーロ入れると、社内は雨ザーザーです。
チコリーの葉はどこでしょうか?
実は20年程前に、この美術館を見学しているのですが、
当時はダリに興味があったわけではなく、
明らかに記憶に残りやすい作品にもかかわらず、
全く覚えていません。後悔先に立たずです。
02. 日用品・インテリア用品
ご紹介する品は、ほとんどアンティーク品として扱われているものです。
特に、チコリー飲料(チコリーコーヒー)についてが不勉強でして、インスタントのチコリーコーヒーが販売されていること程度しか分かりません。今後、現代の家庭でどのように楽しまれ、何か家庭用品が今もあるのか、知ることができましたら、書き加えます。
陶器製チコリーサラダ
スイス北部バーゼルのキルシュガルテン博物館(Haus zum Kirschgarten)に展示されている陶器製のチコリーサラダです。
ウィットルーフチコリーのように見えます。
キルシュガルテン博物館は、バーゼル歴史博物館の分館として、18世紀から19世紀にかけてのバーゼルのブルジョア階級の住宅と暮らしを中心に展示構成しています。
1775年から1780年にシルクリボン製造業者のヨハン・ルドルフ・ブルックファルト大佐が工房兼邸宅用として建設しました。
野菜やフルーツをプレートやバスケットに飾り盛りした姿を陶器で表現した装飾品は、ヨーロッパの家庭のインテリア風景を伝える画像や絵画にはよく見かけます。
もう、30年程前のことですが、スペイン製のこのような商品(フルーツが主体)を何種類か販売したことがあります。
やや高価だったためか、売れ行きは良くありませんでした。
フランス ホーロー製チコリー用キャニスター
いずれも、オークションサイトに出品されていた商品の画像です。
1900年代前半に製造されたものとされています。
西洋アンティーク品として、かなり、高価な値が付けられたものも見られます。
当時のキッチンで使われていたものかと思いますが、保存容器として、製造、販売されていたわけですから、
チコリーが嗜好品として、食卓に上がっていた証しかと思います。
ホーローの技術はギリシャのミコノス島で発掘された紀元前1425年頃の装飾品で確認され、有名なツタンカーメンのマスクも同じ技術とされています。
ただし、これらの技術は、装飾品に限られていたことから、厳密には七宝焼という表現になります。
装飾品としての技術だった七宝(ホーロー)が日用品向けに作られ始めたのは、1800年代初期のイギリスからで、そのきっかけは鉄のさび止めとして応用されたものでした。
その後、ドイツ・オーストリアを中心にホーロー工業は発展し、1924年には大量生産方式が確立され、改良を伴いながら、現在まで多くの方面で製品が活躍しています。
日本には、装飾品の技術として、すでに飛鳥時代には、朝鮮半島経由で伝わっていたとされていますが、
実用品のホーロー技術の最初の製品は、1866年に現在の三重県桑名市の大鍋屋広瀬与左衛門が作った、ホーロー鍋とされています。
続いて、チコリーコーヒーのメーカーから商品として販売され、アンティーク品として紹介されていたTin缶(ブリキ缶)を2点ご覧いただきます。
いずれも可憐な花のデザインに惹かれるところがありますが、もし、仮に缶入りチコリーコーヒーという商品で、当時でも、市販品として流通していたならば、コストの面から、まさか一品ずつ手描きしていたとは考えられません。
また、現在ではブランド商品であるかどうかは関係なく、濃縮されたデザインを持った、缶入り商品は普通に発表、流通しています。
フランス チコリー用Tin缶1
ホーロー製キャニスターがキッチン用品のカテゴリーとされるのに対し、チコリーコーヒーをこの缶に入れ、製品として、販売したものかと思われます。
形は六角柱状で、本体側の6つの角は凹状にくぼませ、蓋に磁器製のつまみがついています。
本体、蓋とも6面のすべてに2種類ずつの花が描かれていますが、
画像で見たところでは、チコリーの花が描かれているかどうかは、確認できません。
経年劣化はありますが、雰囲気としては、現代のアンティーク品としての価値の高いもののように感じました。
チコリーの製造メーカーだったBOURGFOIS(ブルジョア)社の発売品で、高級なチコリーが入っていたとの説明がサイトに書かれていますが、チコリーコーヒーに階級があったという事で、興味深いものです。
フランス チコリー用Tin缶2
前者とは別のチコリー製造メーカーが発売したTin缶(ブリキ缶)です。
前の同じTin缶と比べ、形状はシンプルなバスケット型です。
デザインは5面すべてにパンジーが描かれ、上部には装飾的な取手が付けられ、その正面側には、鍵も付けられるような留め具もついています。
底部にチコリーエクストラとして、商品名「A LA FRANCAISE」と、
ポール家のメーカー名として、CAMBRAI(カンブレー)と表示されています。
やはり、贈答品として、販売されていたようです。このパンジーと1の花のデザインとも、現在の「トールペイント」風のデザインのような印象がします。もともと、「トール」はフランス語の「tole」の日本語読みで、ブリキの意味です。従って、Tin缶(英語)=Tole缶(フランス語)となります。
それが、ブリキの製品に絵が描かれるようになり、トールは「絵が描かれた製品」を指すようになり、現在では、その手法、技法を用いて描くことを、「トールペイント」・「トールペインティング」というようになったという事です。
現代にトールペイントを発展、定着させたのは、アメリカ合衆国での広がりによるものになります。
ベルギー スパイスラック
こちらもアンティーク品として、取り扱われていたものです。
オーク素材のラックに、引き出し状の白い陶器製の食材入れが、大小6個ずつ備え付けられています。
すべてに青い文字で食材名がフランス語で書かれており、大きな方に「CHICOREE」の表示が見えます。
中央部には植物のデザインが施されたガラス扉が付けられ、開閉できるようです。何かを入れていたのでしょうか?
大きさは幅約54CM、奥行き約13.5CM、高さ約52CMで、陶器が多く使われているため、どっしり感があるようです。
上部奥には止め具も付けられており、テーブルの壁面側に固定していたかも知れません。
現代の、卓上調味料入れ整理ボックス(?)のアンティーク版でしょうか?
やはり上流階級にある家庭で使われていたのでしょうか?
チコリーの収穫ポスター
説明には、「チコリーの収穫ポスター」とだけ、書かれています。
デザインフレームに、Tin缶2でご紹介したチコリーメーカー「CAMBRAI」と収穫を意味すると思われる「MOISSONNEUSE」
というフランス語が記されています。
「チコリーの収穫作業スタッフ募集」なのか
「チコリーの収穫が始まります」なのか、それとも?
このポスターは、「Zazzle」(ザジル)という、オンラインであらゆるカテゴリーのオリジナル製品を作成・購入したり、デザインを販売できるサイトから見つけ出したものです。
日本でもすでに2010年から本格的なサービスが始まっています。
サイトに入り、「チコリー」で検索すると、かなりの数のチコリーのデザインの商品が、確認できます。
その大部分はチコリーの花をデザインした商品です。
03. アクセサリー
ワイスチャーム チコリーの花のイヤリングとピアス
ワイスチャーム(WYTHE CHARM)は、オリジナルアクセサリーのブランドです。株式会社オンワードホールディングスグループの中で、運営されています。
世界各国から天然石、パーツを買い付け、専属のデザイナーさんが1点1点手作業でオリジナルアクセサリーとして、製作されているとのことです。
イヤリングはチコリーの花のハンドペイントのチャームに天然石アマゾナイトを組み合わせています。
ピアスの天然石はジェイド(ヒスイ)になります。
2023年7月現在、通販サイトでは品切れの扱いとなっています。
すべて1点ものの手作りならば、発注すれば入手可能なのでしょうか。
チコリーの花は、アクセサリーパーツとして、一定程度、取り上げられているかと思いましたが、簡単な検索では、見つかりませんでした。
アクセサリーについては、作家さんの手作りした商品がサイトに上げられているケースがあるものの、それほど種類が多いというわけではありません。
それぞれの作家さんの思いが込められているかと思い、ここにご紹介する場合は、コンタクトを取り、正しくお伝えできるようにしたいと思います。